どうする町村議会!?(江藤俊昭教授 講演会)

20101130、飯田下伊那地方北部の議員による講演会@豊丘村保健センターに参加。
山梨学院大学江藤俊昭教授による、議会改革に関する講演会。
江藤教授は、ガバナンスにも数多く執筆されている有名な教授であり、またテーマが議会基本条例に関連していることもあり、自治基本条例の担当者として参加させて頂いた。

【講演会メモ】
◆情勢
・地域主権関連三法は次回の臨時会でもおそらく通らない。来年の通常国会でも成立は遅れると読んでいる。

◆地方自治法の改正の動き
1)91-2の削除。法廷上限が削除される。※法定数なんてものは無い。
2)2-4の削除。※但し書きは、ずれて残る。
基本構想、基本計画、実施計画の三層構造は、そもそもとる必要はない。
課題;そもそも他の計画の期間や、首長との任期とのずれ。実効性がある計画ができなかった。
多治見市方式の存在→上記課題をクリアしている
1)総合計画に載っていないものは予算化しない。予算との連動。
2)首長任期にあわせる。
3)他の計画とも連携させる。
※根拠条例の策定が重要になってくる。

◆基本構想根拠条文が無くなることへの誤解
・無知な職員は、「作らなくても良い」と勘違いする。
・行政計画(執行機関で作った計画)でいいんじゃないか?という職員もいる。
→これは住民の団体意思ではない。議会の議決があって始めて団体意思となる。
・振興総合計画は地域経営の柱、基礎、ヘソ。だからこそ議会は真剣に振興総合計画について学ぶ必要がある。

◆栗山町議会の動き
・地域のことを考えると、総合計画の根拠法令が必要。2-4が削除されてしまう。
・『総合計画の運用に関する条例』の制定にむけて、今動き出している。

◆12/3地方財政検討会議の開催
・この会議は、主に地方財政の課題などを「短期」「中期」「長期」で論点を整理する。
・この会議の中では、地方財政の他に、二元代表制を揺るがすような議論も出ている。
・議会内閣制はどうなのだろうか?住民の代表である議会の議員が執行機関の中に入り、首長の任命の範囲である副町長や副村長に就く、というのは何か違和感がないか?
・また、通年議会など議会の期日の問題も出ている。

◆執行部と議会の対立の形
・阿久根市の問題;改正された地方自治法では、そう簡単に専決処分は出来ない。法律が変わり厳格になった。議会がよほどの理由で招集できない時のみ。
・山口県防府市(ほうふし)も名古屋市と同様な問題が起きている。珍しいわけでは無い。
・「定数・報酬をめぐる第二の道」と呼んでいる。。

◆議会も審議(チェック)のみならず、政策立案へ積極的に関わるような動き
・住民もオープンに参加できるフォーラムの重要性。
・議会の問題ではなく、自治の問題として考えれば、住民が参加するのは当たり前。
・会津若松市議会、流山市議会は住民との対話を重視している。
・議会改革や議会条例が目的では無い。住民の福祉の向上が目的。

◆これからの議会
・水戸黄門主義;最後の最後には印籠がでて、公の人が解決してくれる、という日本人の意識。
・今までの歴史の中で、今、示されているような地方に権限を与えてきたような事例は無い。
・だからこそ住民の代表である議会が重要となってくる。
・住民の多様な意見を、多様な目で集約するのは、住民の代表である議会のほうが向いている。
<例>
鳥取県智頭町
・百人委員会(6つの部会)、ひまわりシステム、1/0運動

◆議会改革と行政
・議会を行政改革の文脈の中で語ってはいけない。
・首長からの委嘱の人間が、議会の議論に踏み込んではいけない。
・行政改革は効率性重視。議会改革を同じレベルで議論してはいけない。
・地域民主主義を実現することがその本質。
・議員報酬の削減や定数削減を真っ先に挙げるお粗末な議会改革が多すぎる。
<例>
片山知事時代の職員
・二元代表制、民主主義の考え方が血となり肉となっている。
・執行部から情報は全て議会に出す。ただし議会本番は緊張を持ってお互い接する。

◆住民自治における議会とは?
・公開で討議するから重要。多様な議論を調整する、世論を形成する力を持っている。
・地方議会は議院内閣制ではなく、二元代表制。その意義を考えること。
・議決責任の重さ→会津若松市議会が良い例。

◆一括交付金の問題
・条例で自治組織を明確に位置付けるが必要。

◆地域主権という名称について
・行政学の学者の世界では、地域に主権はない。
・江藤先生は「自治型社会の実現」と呼んでいる。

【講演会終了後の質疑応答より】
・議員は職業ではない。特別職である。ただし非常勤ではない。
・民主主義の重要なところは多様性、多様な人が選挙に出れること。

講演会資料

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