20110722 JMAC行政改革セミナーに出席


金曜日は、当町が行政評価導入のために支援を受けている日本能率協会コンサルティング(JMAC)公共経営セクターの行政改革セミナーに出席。

僕はできるだけこのJMACの行政改革セミナーには出席し、全国の自治体の行政評価の事例や最新動向を本ではなく、それに携わっている方から聞くようにしている。JMACでは都市圏で200人規模のセミナーを中心に開催してきたが、昨年度あたりから都道府県単位で、20人程度の規模のセミナーを開催。今回のセミナーは長野県で初めての開催。
今まではもっぱら聞く立場だったが、今回は上司と一緒に発表する立場。平成19年度より今の上司が中心となり第5次振興総合計画策定にあわせて導入している。ほぼ、現在の行政評価の形を導入したのは、今の上司の力によるものだ。今までの予算編成のあり方に疑問を感じ、今後の高森町を考えた上で、新しい経営の形を模索していた。上司は、その辺りの背景から現状を説明し、僕はその中でも事務事業の担当者としての率直な思いをプレゼンした。以下は、僕が発表したスライドと、そのノートを記す。プレゼンファイルと一緒に見て頂ければ嬉しい。また感想をお聞かせ下さい。

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事務事業データベース構築に際して。その背景には、エクセルベースのシートのファイル管理が出来ず、進捗などが測れずにいたことだった。エクセルは普段から使っているため使いやすい。が、みんなが勝手にフォーマットを変えたり、ファイルそのものをコピーして何が何だか…本人もどれがホンモノなのかわからなくなってしまう。もちろん担当者の僕達としても、本人がわからないものがわかるはずもなく、全体の進捗状況を把握することはもちろんできなかったのです。

そこで事務事業データベースを構築する際に真っ先に考えたのは「効率化」でした。
①ブラウザベースで動くということ(PHP言語)。これは特別なソフトを必要とせず庁舎内のどのPCからも使用できるという利点がある。
②またWEB公開する際には、このシステムを流用することによって安価で済むということ。
③また専用サーバーにデータを集中させることでデータの重複や紛失などを防ぎ、しかも担当者とすれば進捗状況などを管理しやすくなりました。
大手企業が開発しているパッケージものではなく、地元のプログラム会社に委託してみました。これにより安価で済むばかりか、かゆい所に手が届くシステムが構築できたと思います。
はじめはこのシステムを構築したあとに各自治体を回って売ろうと思っていましたが、それぞれの自治体でいろんな特性がありなかなか難しく、現在は検討している最中です。これは、ニセコ町がファイリングシステムのデータベースを構築した際に同様の手法を検討したということで、今でも将来的に可能かどうか研究していくつもりです。
ちょうどこのJMACのセミナーで名刺交換を行っていた熊本県合志市のみなさんもデータベース構築を検討していることでしたので電話等で相談しながらイメージを膨らませていきました。(ちなみに合志市のものは財務会計システムと連動するなど、大変素晴らしいものになっているとの事。)

2つ目は「情報の可視化」です。特に、担当者本人による一次評価からその後の2次評価結果への流れを表現できるように力点をおきました。住民のみなさんはこう思っている、で役場ではその仕事に対して担当職員や課の内部ではこう評価した、でも財政担当や課長、または首長によって評価や結果が変わったんだな~ということがわかる。そういう仕組をイメージしています。
この情報公開の方法を「政策決定のトレーサビリティ」と僕は名づけていますが、これは平成20年に現ニセコ町長の片山健也さんを高森町にお招きし、講演を開催したときにヒントを頂きました。いわゆる政策決定過程の中で、住民のみなさんの意見がどの段階でどう判断されて、そしてどういう形になったのか?この部分が情報公開の中で重要、というお話しでした。 またここにいらっしゃいますJMACのご担当者様からも多大なアドバイスを頂きながら、マネジメントシートの中で、どの過程でどのように意思決定されたのか?ということを追跡できるように表現してみたつもりです。

次のポイントは「権限移譲」というキーワードです。今後WEB公開をおこなったり、今後事務事業評価を予算等に反映させるためには、その評価が担当者間、係内、課内それぞれで意思決定されていることが前提です。そのためには現場の最終的な責任者である課長が内容をしっかり精査して承認した、ということが必要です。これは「首長から課長のみなさんへの権限移譲」といえます。もちろん、移譲には責任も同時に移されていくわけですが、これは組織的に見れば柔軟でスピード感が出てくることにもつながると思います。今回のシステムにも課長承認、そして管理者承認によってWEB公開ができる、というように構築しました。実は当町ではすでに町のHPが同様の仕組みで運用されていますので、導入にはそれほど壁はないと考えていました。
そしてもうひとつの権限移譲は「企画財政部門から全職員への権限移譲」です。今までは企画財政部門が多くの情報を持ち、そのために力を持っている、と考えられていたと思います。確かに今までは情報を持っていることがイニシアティブでした。でもこれからは違う。今までは単に情報を持っているという事実だけで良かったが、本質はそれをどう活かすか、どうまちづくりに反映するか?がカギなはず。今回のDB構築は(見ようと思えば)職員は誰でも見ることができます。課や肩書きによって見れるデータにフィルターをかけていない。8月には町HPを通じて公開する予定です。これによって役場の仕事のほとんどが(これも見ようと思えば)見ることができる。 町民のみなさんはもちろん、議員の方々や近隣市町村の方々も。
そして、実はこの権限移譲がキチンとできていることが、「情報共有」という段階から「情報を活用する」という、次の段階へ引き上げる必須条件となるのではないか?と最近は考えるようになりました。この考え方は自分の仕事に対する姿勢として大きな出来事でした。

 次は、マネジメントシート作成を通じての組織改革の4つのポイント、です。4つのポイント、というよりは、マネジメントシート作成や行政評価を通じてどんな組織を作りたいのか?という僕の想いになります。
1つめ、Thinking、考えることです。よく行政評価で成果指標の数値を設定するときなど「役場の仕事を数値で測れるのか?」「この数値結果が人事の際の重要な根拠になるのでは?」という意見が出ます。僕自身は、所詮数値などは、ある結果の一側面を分かりやすく表現したものでしかない、と思っています。数値で成果を表現すること、これは確かにアカウンタビリティ(説明責任)を果たすべき行政にとっては重要なことであり、行政は今までそれをやって来なかったが、これが100%役場の仕事を表すものではない、と考えています。重要なのはこのような行政評価を通じて「住民が自ら考える」「職員が住民起点で考える」「住民と職員が一緒になって考える」という組織風土、町の風土をつくることだと考えています。
2つめはナレッジマネジメント。行政評価を通じて、特にマネジメントシートの策定を通じて、今まで口伝やなんとなく引き継がれてきたものがきちんと文章化・数値化・図式化され、情報が公開・共有されることになった。まずこの前提があってからこそ、情報が活用され創造的な仕事が行われるはずです。さきほど説明したとおり、これは権限移譲が出来ていなければ、不可能であり、そして職場内で情報の共有や活用が出来ていなければ、住民のみなさんに対して情報の公開ができるはずがない、と思います。まさに「改革は隗より始めよ」なのです。
3つ目はMovement、動くこと、まさに行動することです。今まで説明してきた「考えて」「情報を活用する」ということは、ここまでは誰でもできます。考えたこと、情報をどのように行動に移していくのか?これが一番重要です。陽明学でいうところの「知行合一」というやつです。
そして最後はリング、輪ですよね。つながるっていう意味です。行政評価を導入する際に、職場全体でやるっていう雰囲気をつくること。これが重要になると思います。僕は夕方の就業までの1時間を「みんなで課や係、役職なんて関係なく一緒にマネジメントシートを作成しましょ!」と会議室を予約して呼びかけています。正直、出席率は悪い。一部の方しか出てこない。実は7月19日はゼロでした。でもこういう場所がなければ本当にゼロだけれど、こういう場所や機会をつくることによって0.1でも確実に上に上がっていけると思っています。
自分の仕事だけでいい、自分だけの出世や名声のことを考えている人が「全体の奉仕者」として「公務」は不可能じゃないかな?と思います。まず、繋がる。世代や性別、肩書きなど関係なく、繋がる。今、はやりの「協働」という言葉、職員間で「協働」できていないのに、住民と「協働」することは無理ではないでしょうか?そしてこういうことをした後に飲みに行きます。そうすると先輩や上司から「これからは若い世代の時代だ」と言われます。でも僕はこう答えます。「いいえ、一緒にやりましょう」って答えます。
実は、このThinking、Knowledgemanagement、Movement、Ringの頭文字を並べ替えると、TKMRとなります。「たかもり」なんですね。だから忘れない、忘れられない。これを常に念頭において「こういう組織、町にしたいなあ」と思って仕事をしています。

最後は、「行政評価」の担当職員として実践していることです。
1つ目は読書、なんです。仕事に関して今まではあまり本を読みませんでしたが、僕が行政評価担当になってから「行政評価」関連で読んだ本がこれです。これをきっかけに本を読むようになりました。特に先ほどの「権限移譲」というキーワードは、左上の本の中に日本能率協会の理事である梅田次郎さんのインタビューが掲載されているのですが、その中に出てきます。

あるビジネス書の中にこんな話がありました。「同じプロでもスポーツ選手とビジネスマンでは大きな違いがある。プロのスポーツ選手は8割を練習に費やし、2割の本番でその成果を発揮する。しかしビジネスマンはどうだろう?日ごろ、読書などのビジネスの上での鍛錬をせずにいきなり本番の毎日を過ごしている。」この一文を読んでから、少しだけですが読書をするようになりました。それでも基本、好きなところや興味があったところしか読んでいません。でもそれで良いと思っています。
2つ目は積極的に研修や勉強会等に参加するようになりました。JMACセミナーへの出席、各種研修会への参加、自主的な学習会のなど、担当者としては常にネットワーク、視野、情報網を広げておく必要があると感じています。時には、先進自治体の事例やその職員にお会いすると、打ちのめされることが多く、そのたびに「無理かなあ」と思います。でも、よーく考えてみると、それぞれの自治体は全く特性が違うし、その自治体のやり方がある、歴史がある。ましてや、全国的に賞賛されたり有名になることが目的ではない。あくまでも自分の町がどうなるか?ということが重要なんですね。そう考えると、こういう研修や勉強会に参加し、そこで得た知識や情報を自分の町流にアレンジして落とし込むことに「楽しみ」とか「やりがい」を感じるようになりました。
最後は、読書であったり研修会で参加したことを仲間と共有することが大切だと思います。実際、その部署の担当者だからつながっている、つながることができるネットワークや人脈がある。でも、それを仲間に教えないのはもったいない。現在高森町では庁舎内LANが整備され、そのような情報を共有することが可能となっています。左上は、町内のある精密会社の社内報です。この社長さんは組織改革に力を入れていてこのような社内報を自ら作って社員へ徹底しています。その社長さんとお話したときのメモや社内報を画像で載せています。実はこの下にコメント欄があるのですが、多くの仲間からコメントをもらいました。また右側は先ほどの勉強会のWEBです。県内では上田市の方、そして関西の職員の方々からも時々連絡があり、その方々とも情報や資料を交換するためにこういうWEBページを作りました。また先ほどの読書についてもできるだけメモを残しています。そのメモをやはり庁内LANなどで仲間と共有します。(最新では自治基本条例策定に関する読書メモ)情報は持っていては駄目、発信して共有して、そしてみんなが使って初めて価値を持つ、と僕は考えています。
こういう仲間からの言葉を聞いて思うのは、「考えすぎてやらないより、ちょっとだけ考えて行動を起こしたほうが、成果が出る、大きい」ということです。これは本当に実感しています。そして本日お集まりの皆さんともぜひ一緒に進んでいけるような仲間になれたら、と思います。
そしてサブタイトルにもあるように、行政評価を通じて一番意識が変わったのは担当者である僕なのかもしれません。
______________ここまで

今回も多くの県内外の職員の方々と名刺交換を行った。こういう出会いからネットワークが広がる。実は今回参加されていた焼津市の職員の方が何と以前からお付き合いがある焼津市の職員の方だったから驚き!以前は違う分野の部署だったがこれからは同じ行政評価の担当。一緒に進んでいけたらなあ、と思う。

〈JMAC星野代表の講義より〉
・公共経営という考え方
全体から見るという意味。今までがバラバラだった総合計画・実施計画・予算編成、そしてこれからは自治基本条例などをつなげていく考え方。また企業の経営と行政の経営は、そもそも違う!住民は「利害関係者」「サービス受給者」「納税者」「自治の主体」という四面性を持っているため。さらには経営という仕組みを導入することで課長の役割は変わってくる。
・自治基本条例の意義
今後は行政のみでなく、住民や地域も政策の企画立案→実施→評価を行う(PDCAサイクル)必要がある。これを明文化し条例化したものが自治基本条例。
・未来から考えること
歳出構造を変える予算編成のためには過去から考えるのではなく未来から考えることが必要。まず将来や目的を定め、それに対して何をすべきか?と考える。ただし過去からは教訓は得られる。
・優先度の重要性
今までは役場の仕事に優先度をつけることはタブーだったが、今後はこの意識を変える必要がある。これも歳出構造を変える予算編成には必要。
・マネジメントの語源
馬を水飲み場に連れて行く(ラテン語)。正しい場所へ導く、という意味。
・地方自治法改正における基本構想の考え方
そもそも条文の中で議決に関する条文が削除されても、地域経営には中長期視点が必要なのは当たり前のこと。
・施策の定義※改めて確認
事務事業の集合体ではない。施策とはまちづくりの課題のこと。この解決の主体は行政のみではなく、市民や地域、事業所などもある。
・議会による決算認定
笛吹市や佐賀市。これをやると議員はもとより議会説明を行う課長級の意識が変わる。
・事業の形骸化
この原因は「運用の問題」「仕組みの問題」がある。そもそも「評価結果を予算に反映させる」という目的を理解しているかどうか?
・事務事業マネジメントシート作成の意義
作成するということは「伝える」ということ。事務事業評価を決算認定へ活かすことが重要。
・二次評価会議(庁議)の意義
評価結果を予算編成に反映させる、が、どうしてもしがらみがあり課長級では判断できない場合がある。それをカバーするのが二次評価会議。これには必ず首長が参加。
・成果発表会
成果発表会などは決してパフォーマンスなどではなく、モチベーションアップや成果としてわかりやすいという面がある。そのためにもシンボリックなものを選ぶと面白い。
・施策枠配分に入らない事務事業の扱いについて
強引に施策の中に取り入れるか、「どの施策にも該当にならない事務事業」としてくくる。
・今後は…
行政の役割は今までは共助と呼ばれたところに如何に入り込んでいくか?という部分がある。また人事評価と振興総合計画が連動していく必要がある。



プレゼンファイルを作る上で参考にしている図書です。

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