総合計画シンポジウムIN多治見市

20121110 多治見市総合計画シンポジウム


 自治体学会のMLより情報があり、このシンポジウムへ。総合計画の担当であるものならば、多治見市や武蔵野市の振興総合計画の取組は、登竜門。
 また、金井利之先生(東京大学大学院)も、ずっとお話を聞きたかった方のお一人。大変楽しみでした。ここではメモを共有。

フォーラム実行委員より

●市民有志による「地域づくりフォーラム」の皆さんで企画・運営。主に今回のようなフォーラムやシンポジウムを行っている。
●先日の中日新聞、岐阜県の施策をの県民が「知らない」と答えている。基礎自治体でも同様ではないか?

金井利之教授(東京大学大学院)

●今までの基本構想に関する地方自治法
・法廷要件…ほぼ白紙に近い。だからこそ自治体の腕の見せ所だった
・機関意思…そもそも議会否決を考えていない条文
議会は提案してはいけないのか?(原案策定権)
議会が反対した場合はどうなのか?
修正後の構想は有効なのか?
専決処分はありなのか?

●de facto standard(デファクトスタンダード=事実上標準)としての総合計画
※法廷要件は白紙に近いが、今まで何となく「型」が出来ている。
・三層主義(基本構想、基本計画、実行計画など)
・非総合性(総合という名に偽りあり)
・増分主義(右肩上がり時代の代物)

●事実上標準の限界
・三層性長期計画の限界
・新規事業が無い→総合計画不要論
・減分主義→スクラップ&ビルド

●形式的基本構想と実質的基本構想
・現状は「形式的基本構想」
予算編成に対して指針を与える思想を持たない

・→あるべき姿「実質的基本構想」
自治体の政策的判断に対して思想や指針を与える

●抽象と具体
・ある抽象的なビジョンに向かって、みんなが進んでいくことはある意味「理想論」。
・むしろ、それぞれの自治体の(特に危機的な)今迄やこれからの政策判断の蓄積の中から、その自治体としての基本構想になるべきものが見えてくるのではないか?

武蔵野市役所総合政策部長 小森岳史 氏


●長期計画
・武蔵野市は総合計画と言わず「長期計画」と呼ぶ。
・40年前の長期計画もWEBから見ることができる。
・無理に定量的な目標は掲げない。
・コンサルは全く入れていない(ただし、開始当時は松下圭一と西尾勝にてスタート)
・武蔵野市の計画書は60頁。多いものは700頁の自治体もある。薄いからこそ実効性が高い。
・不交付団体であるが、20年前より税収は変わっていない。

●議会の役割
・情報の整理、提供、説明会は住民との議論は議会がやるべき。
●策定委員会について
・「策定委員会」は条例設置。
・アリストテラシー、プラトン「哲人支配」。
●参画の変遷
・要望の参画→取捨選択の参画
●時代の移り変わり
・分配の時代→負担の時代

●定量的な表現について
・武蔵野市の計画書は先述の通り薄い。「読んでもらう」ことを前提で作っている。だからこそ、市民にも議員にも読まれている。議会でも「長期計画に書いてある表現と違う!」という指摘を受ける。総合計画の内容を皆さんの議会では突っ込まれることがあるか?この例をとっても武蔵野市の長期計画(総合計画)は実行性が高いと思っている。

多治見市役所企画部長 青山崇 氏


●総合計画の財務条例(多治見市健全な財政に関する条例)の関係
・財政フレームを示して、総合計画を作ることは以前より行っていた。
・ただし総合計画の中でそれを明細に記載している。例えばこの事業をやったら、財政状況はこういう状況になるという内容を記載する。
・この記載があって「やるか、やらないか」という判断をする。
●横のつながり
・若い職員を中心に「プロジェクト制度」を導入している。(規模が大きいため)メール等で募り、最終的には課長級、部長級にも入ってもらい、プロジェクトを遂行する土壌が出来ている。


事務局からの発表によると、このシンポジウムの様子が公人の友社より、ブックレットになって販売されるとのこと。楽しみです。

今日のBOOK

金井先生の本。僕も購入済みです。


公人の友社のブックレットでは、下記のようなものを読みました。いずれも名書です。





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