20101004高橋寛治さん講演会~エゴではなくて普遍性があれば法律は変えるべき~

和歌山県高野町の元副町長、高橋寛治さんの講演会が高森町役場福祉センターにて、10月4日17:30から開かれた。高橋さんは、飯田市役所まちづくり推進室長、産業経済部長などを経て、平成16年10月から今年の春まで高野町副町長を勤められた方。当時、高野町副町長となった時は、朝日新聞で「公務員もヘッドハンティングされる時代」というようなテーマで取り上げられていたことが記憶に残っている。現在、高橋さんは高野山大学客員教授、埼玉大学非常勤講師の職を勤めながら今回のような講演・勉強会のために全国を飛び回っており、やっとのことで日程を調整することができた。

今回は「わたしたちの共通の未来へ」というテーマでご講演をいただいた。



以下、講演のメモを記す。
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<過去、そして現代とは?>
・高野町当時45億の予算規模を29億へ。
・エゴではなくて普遍性があれば法律は変えるべき、またそのような切り替えしを県や国にできるか?
・コミュニティとは西洋的概念、日本はそこに縦のつながりがあり、独特の共同体を作っている。
・その共同体の重要さ・・・面倒臭い、でも経済原則に乗ってしまっている今だからこそ、とても重要。
・私たちは「団塊の世代」。娘たちは「断崖の世代」。
・1970年代オイルショックはリカバリーできたが、その際、「都市の先進性」「田舎の後進性」、「大量生産・大量消費が経済的に豊か」という思想が日本全体へ。
・だが現在は当時正しいと思われていたことが崩壊している時代。(例)年功序列、終身雇用などの既存の正しさの崩壊。パラダイムシフト。
・個人と国家の対立。個人で管理されていく世界へ⇒不安、恐怖を感じている。
・親や祖先を慈しむ心などが、税金を支払うことで公が補ってくれるというシステムを日本は作り上げてきてしまった。
・1990年代以降、今まで顕在化しなかったこのような問題が出てきた。

<今まで高橋さんが取り組んできたこと>
・まず事業を起こす際は何度も「勉強会」を開催。住民とともに学ぶ機会を創出した。(例)高野町創造塾
・集落の重要性。高森は先進地、今日も町政懇談会。
・集落支援員、地域おこし協力隊⇒ハードではなくソフトの支援。
・支援員は「地域住民が地域の課題を自ら解決すること」を「支援」する。あくまでも課題を解決する主体は「地域住民」。
・高齢化だろうが、少子化だろうが、そこに住む人がいる限り、地域の持続を望むのが公務員ではないか?



<取組から見えてきたこと>
・「総合的に解決する」ということ⇒地域に入るということは、部署を超えて総合的に支援することが重要。(例)福祉、環境、土木・・・
・国はそういう自治体を探していて、そのような地域には経済的支援をしてくれる
・「構造的に見る」ということ・・・(例)飯田市の再開発
 1)住む⇒人がまず住まなくては開発はない
 2)道路のヒエラルキー⇒車、歩行者の優先度や仕分け
 3)共同による開発⇒共同出資(ファンド)。自治体ではなく住民みんながやらなければ意味が無い。
 4)継続していくシステム⇒飯田まちづくりカンパニーの設立
 5)情報力⇒民間企業が「来たい!」と思う情報を発信する力
・景観整備・・・外観を綺麗にするだけではなくそこに「誇り」が生まれる
・前提の共通認識・・・役場ではなく、住民が「これだけは残していく!」いう責任の自覚があるかどうか?これが重要。
・高野町の町政に携わって改めて感じたことは「前近代の仕組が、現在の超越(解決)できる」ということ。

<これからの公務員>
・法の遵守は公務員として当たり前、でも法律は全国的で画一的。でも地域はそれぞれの個性を持っている。この法律は何のために出来たのか?立法の主旨に着目することが必要。
・現場に出てそれをいかに構造化するのか?これはすぐには出来ない。学習することが必要。
・住民と対話し意見を聞くことは必要、だが最終的に物事を決定するのは権力者である「公務員」である君たち。住民参加や住民参画をアリバイとして使わない。
・ただし、そのためには「高森町はこうあるべきだ」「こういう高森町にしたい」という筋が一本通っていること、またそれを共有できてることが大前提。

「ありのままの環境を少しずつ変えていく」
「一つ一つの特殊界が普遍性につながる」
「構造的な課題には構造的に取り組む」
そして合意形成・・・



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講演会終了後は吉田の「龍巳」で、高橋さんを囲んで若手職員を中心に10名程度で交流会。お酒が入ると、またまた「まちづくり」の極意をたくさん教えて頂いた。

僕自身は集落や日本共同体の可能性を信じている一方で、NPM(New Public Management=企業等の経営的概念を行政の経営へ導入すること)の可能性も信じている。ただし、それはあくまでも概念や手法を導入する過程で「考える職員・住民」「課題に気づき解決できる職員・住民」を育てる「人材育成」、またその結果が住民へアウトカムされることが本質だと思っている。そのような意味では、高橋さんがおっしゃっていることの中に共通点が見いだせると捉えている。

また、今回の講演会は庁内の若手職員が中心となり、会場の設営から受付・準備などをそのメンバー全員で行った。このような活動を通じて少しでも「学ぶ」そして「自ら動く」仲間たちが増えていければいいなあ、と思っている。
隣の飯田市、松川町、そして下伊那地方事務所の職員の方々も来てくださり、なんと自治体学会のMLを通じて、諏訪から2時間かけて職員の方が駆けつけて下さった。

また今回は高橋さんにも承諾を得て、Ustreamを用いてLIVEで講演会の様子を配信した。

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関西の自治体有志の会の仲間から「見たよ!」とTwitter上で発言も頂いた。※このサイトの最下段にUstreamの画面を貼りつけてある。

このようなSNS(ソーシャルネットワークシステム)を上手に利用することで、物理的な距離を越えて、共に学習できる可能性を改めて実感した。

高橋さんからは2年くらいをかけて継続的にこのような勉強会を高森町で開催できたらどうか?というお誘いも受けている。僕自身も、「総合的に解決する」そして「構造的に物事を見る」スキルを仲間とともに身に付けたいと思っている。また今後も全国の仲間に声をかけて、少しでも「知」を共有できたらなあ、と思っている。
皆さんもぜひ気軽に声をかけて下さい。一緒にやりましょう!

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