『山をゆく歌』
先日、町内にお住まいのY氏が訪ねて来られ、ある本を進めらた。それは、宮下正美さんという方が書いた『山をゆく歌』という本である。
ストーリー
ストーリーは伊那谷が舞台である。高森町の反対側にある鬼面山の顔を見ようと、高森山方面へ登り、道に迷い熊との遭遇などのピンチを乗り越え、ついには木曽山脈を縦断し奈良井方面に。その中で、老植物者に出会い助けを得て、最後には無事に村へ戻り、鬼面山が夕日に輝いて笑っている、というお話である。このストーリーはあとがきによると、宮下正美氏が幼少の時に実際に体験した実話に基づいている。職場の先輩の中には「小学生時代にこの本を読んだ記憶がある」という人もいた。
飯田下伊那地方では、高森町中央図書館、そして飯田中央図書館にこの本が残っているとのこと。その1冊を図書館で借りて読んだのだ。
生い立ち
Y氏は、あることがきっかけで宮本正美さんを知り、調査・研究を進められてきた。その成果は地元の郷土歴史雑誌『伊那』の2012.8号に記されている。
これによると宮下正美氏は、明治34年、下伊那郡市田村(現高森町)出原に生まれ、飯田中学~慶応義塾の文学部、そして義塾付属小学校(幼稚舎)の教師になった。戦後は湘南学園の園長を務め、もっぱら児童文学や啓蒙教育に力を注ぎ、退職後は杉野女子短大教授となり、児童文学者・教育者としてご活躍されたとのこと。
現在、国立国会図書館には宮下正美の著書がが86冊所蔵されており(これはY氏の調査のたまもの)、このことからも宮下氏が偉大な文学者・教育者であったことが伺える。
Wikipediaでは「長野県飯田生まれ」となっているが、これは間違い。
宮下正美 - Wikipedia
隣の喬木村では、かの有名な「椋鳩十(僕は全て直筆サインが入った椋さんの全集を持っています)」が生まれ、高森町でもこのような素晴らしい文学者・教育者がいることを初めて知った。
Y氏は「この作品も含めて宮下さんの本からは、この伊那谷の良さを都会の人々に伝えたいという気持ちが伝わってくる」とお話しされていた。僕も読んでみたが、ハラハラ・ドキドキの物語、しかも実体験に基づいていると考えたら…
Y氏はこの本を復刻したいと宮下正美氏のご子息を尋ねられ、活動を始めている。少しでもお手伝いが出来たらと思う。ぜひ、皆様を復刻した際は、ご購入を。
今週のBOOK
実は同学年なんです。ビックリですね。書かれていることは、本人もあとがきに書いているように「王道」。でも成功者は「当たり前のことを、きちんとやっている」ということが分かります。
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