今日は、午後より高森町のやすらぎ荘にて、「蘭植物園の今後利用を考えるシンポジウム」が開催された。実はこのシンポ、行政が企画運営ではなく、住民の方が主催なのである。こういう動きがあるから、僕は高森町が好きだ。
シンポジウムは大まかにいうと、3部に分かれていた。第1部は、松本大学白戸洋教授による講演、第2部は住民の方々による提案説明会、第3部はこの提案を受けた白戸先生からのアドバイスである。
白戸先生は、十数年前にも高森町の「牛牧おやきの会」の方々の発足時に、小川村への視察に同行されたつながりもあり「高森町に今日来たことは、運命を感じる」とおっしゃっていた。
以下はその時のメモから…
◆「地域づくりは、いらない!?」
・「町の将来について、夜も眠れないくらい考える人はいますか?」
・「いないでしょ?ってことは、実は大したことではない。」
・「『将来のまちのために』。『人の為』ですよね?」
・「人の為・・・ニンベンに為と書いて『偽』ですよね?『人の為』って偽善なんですよ。」
・「だからまず地域づくりを『自分のために生きる』こととして、捉えて下さい。」
・「『将来のまちのために』は、いらないですよ。」
・「とりあえず、自分(たち)は、何ができるのか?」
・「まず、動いてみましょうよ!」
・「100人の1歩より、1人の100歩です。」
・「行動すれば『課題』も見えてきます。」
・「行き過ぎちゃったら、ごめん、と言って戻ればいいんです。」
・「ある地域では、メンバー20人が1万円ずつ出し、『さあ、何ができる?』と考えた。」
・「意識は行動を変えないけれど、行動は意識を変えることができます。」
・「地域はなかなか変わらない。下手をすれば50年かかる・・・」
◆「地域・集落」の変化について
・戦前の集落共同生活は必要不可欠だった・・・みんなが貧乏で、支えあわなければ生きられない
・戦後は、おかねとおかみ(経済と行政)が充実⇒今はこれが不安定・・・
・ライフスタイルや価値観の多様化⇒昔の地域には戻れない⇒地域の再興はムリ
・新しい感覚で『地域の再構築』が必要!
◆教育・学習の重要性と公民館
・今の公民館は形骸化
・昔の公民館は一人一人の課題を、話し合いや協議の場から、みんなの課題・地域の課題へ
・そういう議論をしながら、共に教育・学習してきた
・長野県の公民館は本当にこういう歴史が素晴らしい
・現在のように、経済・行政の機能が不安定な時代だからこそ、もう一度「地域」を考える必要がある
・「視察旅行」とは、できない言い訳を見つける旅行。「ここは町長や職員が凄い!」「この地域にはこれがある!」
◆「地域資源」
・地域の資源(宝)は、必ずある!
・それを見つける、磨く、輝かせる、結びつけるのは「人」!
<EX>いばらん亭、安曇野黒豆、松本一本ねぎ、カップ丼、つながりおむすび・・・
◆「まちづくり」に必要不可欠なもの
・やっぱり最後は「人」!
・「人」を変えること!
・そのためには「若者」が必要!
その後は、10人(団体)の方々から、跡地利用についての「提案」が発表された。ちなみに(s)で始まるのは、聞いてみての僕の感想である。
1)遊休荒廃地対策
・アンケート結果
・農家民泊
・農業とは「数の論理」で図れるものではない。
・長い年月で考える必要がある
・実際の農業従事者は本当に忙しい
・梨10aを耕作するには250時間が必要で、時給にすると200円台という現実
2)新エネルギーの活用(太陽光発電、グリーンエマルジョン)
(s)では、このエネルギーを「跡地利用」としては、どう使うのか?
(s)既施設を活かすのかゼロから考えるのか、この提案では分らない
3)福祉複合施設としての利用
(s)確かに福祉施設の必要性は理解できるが、これがこの周辺の発展とどう繋がっていくのか?
4)天体望遠鏡の設置
(s)確かにこの場所からの景色や星空は最高!だが周辺地域の連携はどうするのか?
(s)町が全て出資?有料化は検討できないか?
(s)単に天体望遠鏡のみで、ランニングコストをかけていくのか?
(s)結局、以前の蘭植物園と同様ではないのか?
5)交流センター
・観光農園等の拠点、癒しの空間、農園レストラン、加工体験、キッズキッチン、ブライダルゾーン
課題;鑑賞棟の意義(他施設との差異)、有害鳥獣の檻、誰がやるのか?
(s)まさに、誰がやるのか?実施主体は?
6)たかもり農業公園構想
・以前の蘭園は、唐沢教授の力や蘭の希少性などに頼り、周辺農家や町内企業が傍観者に
・様々な人が多く関われる環境づくりが必要(企画~実行)
・地域資源を中心に、行政、JA、企業、農家、商工会、専門家などのネットワークの構築が必要
7)火葬場
8)町民植物園
・インターネットの活用、温泉の活用、観光協会の充実
9)植物工場
・LED等で作る野菜、太陽光発電にて収益
(s)せっかく日本でも有数の日照時間を誇る当地域で、野菜を工場で作るのか?
◆白戸先生の感想
・今回のシンポも行政主催ではなく、住民が主体⇒この地域が発展していく可能性は大きい!
・農業について・・・肩身が狭い現在の農業従事者(朝のビーバー、夜の下草燃やし・・・)⇒この意識改革が必要!
・日常から大切にされているものが、本当に重要なもの⇒蘭は各家庭で育てていたか?
・結ぶつきから生まれる新たな芽(福祉+観光、福祉+農業など)⇒商品にストーリーが生まれる
・とりあえず何か、みんなで頑張れる「共通点」を!(例;安曇野の菜の花)
白戸教授のお話しは、本当に楽しく、聞いている住民の方々も「うん、うん」と大きくうなずきながら聞いていたのが印象的だった。白戸教授の考え方が、日頃から自分が意識していることと大きくかぶり、自分の進んでいる道も案外捨てたもんじゃないなあ、と。これからたくさん行動して失敗して、少しでも前に進みたいなあ、と改めて感じた。
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