はざかけ(稲掛、稲架)

こだわりのはざかけ米


16日は遅めの夏休み。嫁さんの実家の稲刈りの手伝い。

 最近はコンバインで稲刈りから脱穀まで済ませてしまい、集められたお米は他の農家が収穫したものと一緒にされて、乾燥機で乾燥される。
 天日では干さないし、お米を他人の収穫したものと混ざってしまう・・・

でも、義父はこだわりを持っている。

「天日に干したお米の美味しさ」

「自分で作ったお米を食べたい」

この二つのコダワリから、「はざかけ」をしている。


はざ(稲掛、稲架)って?

「はざ」とは図のように、木の杭や竹などを使って組んだもので、その上に刈り取った稲を掛ける。そして天日でじっくり乾燥させる。

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 義父のやり方は、「2段方式」。1段目は刈り取った稲を7:3くらいに分けて、これが交互になるように掛けていく。しかも密集するようにしっかり押さえつけながらかけていく。

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この1段目が終わると、その上に今度は5:5の割合で分けた稲を乗せていく。

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そうすると写真のような風景が出来上がる。

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 稲刈り機で刈ったお米はある程度の量で紐によって根元で束ねられ、田んぼに寝かされる。その倒れる向きも考えながら、稲刈り機を進める方向も決まってくる。
「はざ」に掛けるときに作業がしやすいように、根元が「はざ」の方向へ向くように稲刈り機を進めていくのだ。


はざかけって、地域で違う


 この「はざかけ」の形も地域や家によって全く違ってくるから、本当に面白い。昨年、四国に行ったときは、蓑を着た人のような形をした「はざかけ」の風景もあって、びっくりした記憶がある。

 またWEBで検索しても、たくさんの「はざかけ」の形をみることができる。(例えばGoogleで「はざかけ」と入力し、画像検索するだけでも面白い。)

 また、昔の教科書の副読本を調べると、はざの立てられる向きが、天竜川の河原周辺と町の中段、そして上段では違うことがわかる(当時の小学生の夏休み研究)。
 これは、風の吹き方によって倒れないようにすることと、適度に風が当たり乾燥が進むようにと、先人たちが試行錯誤の上に決められた向きだと考えられる。
World Cafe: 20130914はざかけ







 みなさんの地域でも、もしはざかけが残っているのなら、それぞれの場所でどの向きに立てられているかを調べると、風の向きとの因果関係が見えてくるかも。


農業の深刻な問題


 農業の世界も「効率化」の波が押し寄せてきている。この背景には後継者・担い手不足や高齢化などの深刻な問題がある。7日の農林水産省が発表した2010「農林業センサス」(速報値)によると、農業就業人口は260万人で、減少率は22.4%と、同じ手法で調査を始めた1985年以降で過去最大、しかも就業人口の平均年齢は65.8歳と2.6歳上昇し、初めて65歳を超えたとのこと(信濃毎日新聞2010/09/07より)。


手間をかかる作り方が、付加価値となる


 だからこそ、専門の人を頼みコンバインで刈り取ることが普通になったが、最近では、この「はざかけ」の美味しさが見直され、「はざかけ米」という付加価値をつけて売るところも出てきている。



World Cafe: 20130914はざかけ





また、お米の食べ方も多種多様になり、最近ではこんな製品も出た(出る?)らしい。






 その地域では「当たり前」だったものが、実は他の地域から見ると「付加価値」が付くほどの可能性を持っている。



 僕たちの仕事は、普段からこのようなものに目を光らせて、少しでも外へPRし、それを通じて住民の方々にその技術や歴史について誇りをもってもらうこと。今一度、そのような価値観や視点で物事を考えてみる必要があるなあ、と稲刈りをしながら思った一日。

※20110923修正、追記
※20111019修正、追記
※20131010修正、追記



今日のBOOK




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