20121124飯綱町から「信州まちなみ再考」



20121124 飯綱町フィールドワーク

 飯綱町へフィールドワーク。ここから「信州のまちなみ再考」というテーマでレポートを書きます。飯綱町の観光協会の方とサンクゼールの久世社長にインタビューを。

観光協会石川さんへ

三水プランについて

・25年前に発刊。今回いただいたものはリプリントしたもの。
・風景美術家の田窪さんと一緒に。
・田窪さんをお招きしたのは、内部に人材がいないから。
・これを実際行動に起こしていれば、今の小布施に匹敵する街並みになっていたはず。
・景観は財産であるという意識を持っている人は、どこへ行っても少ない。

飯綱町の農業

・稲作と果樹が中心。野菜農家は少ない。リンゴは30年前は大きな換金作物だった。今でも飯綱町のリンゴはトップクラスだと自負している。
・荒廃地の比率は目立ってきているが、まだ少ない。それは農業従事者は定年がないこと、農業にやりがいを感じているということが理由か。

飯綱町の景観行政について

・ビジョン策定を引っ張るような強烈なリーダーシップを発揮する人がいない。行政スタイルでは利害調整が難しい。結局平らにならすことが主となり、特徴が無い平凡なものが出来てしまう。こういうものには強いリーダーシップが必要。
・ビジョンとは夢の集合体。
・町民は看板や荒廃地には興味があるが…
・飯綱は北イタリアの風景とよく似あう。
・石川さんの中で、今の飯綱町の景観保全の最優先は間伐。人工林は全くうれしくない。それが出来てから建築の規制など。
・県環境保全研究所 富樫氏「飯綱には実質的な景観行政はない」。以前、県元気づくり支援金を活用し「白地図を塗ろう」という団体で、飯綱町の自然環境についての冊子を発刊。


イルミネーションの取り組みについて

・県元気づくり支援金約125万円を使い、住民協働によるイルミネーションによる地域活性化事業。仕掛け人は石川さん。
・都市部でしか見られないイルミネーションをもっと身近に。
・この中で「協働の仕組みづくり」を仕掛けたかったが…難しい。地元の中学校や高校とも連携しているが、どうしても「おんぶにだっこ」になってしまう。
・若い人との交流の場がない。昔は青年部活動も盛んだったが…石川さん自体も若い人との交流がない。


その他

・共同体の規模は100人くらいが一番望ましいと考えている。
・情報発信が足りない。外部から田窪さんのような方に来ていただき一緒にやることは、それだけで話題性が生まれる。

サンクゼール久世良三社長

・テーマは「信州まちなみ再考」。現在、長野県内は景観・まちなみのコモディティ化(均質化)。都市部から中山間地域へも広がっている。
・今後は施設観光から脱却する必要がある。そのためにはどんなことがあるのか?できるのか?その一つがサンクゼールのあり方。

久世良三社長より

・今日のように大人数ではなく少人数で、ヤル気がある人が参加する今日のような場が重要。社内でもどんどんやっている。
・景観の価値、ここからどのようにして観光産業につなげていくか?企業として、個人として、数十年間悩み続けている。答えは出ていない。


和の建築、洋の建築

・成功している企業の共通点…海外を定点観測し良く勉強されている、世界を知って自分のポジショニングを明確にしている
・ヨーロッパ地方の石が無いところの建築…茅葺きと漆喰、木のたたずまい→日本建築との共通点を感じた

久世社長のライフヒストリー

・東京都生まれ。経済効率の飲み込まれた生活。公害などもあり。
・斑尾高原のペンションを奥様と二人でスタート
・斑尾の景観が崩壊→俗化→全体的な美しい景観から個の主張の景観へ
・ペンションをやめ、企画会社を設立→サンクゼールの前身

サンクゼール設立

・当時会社を作ると行政を尋ねると、工業団地などを紹介された
・当時の三水村村長のリーダーシップ、総務課担当者の能力→外部を受けれいる力
・現佐賀県知事古川知事(当時長野県企画部)が応援
・元荒れた桑畑。補助を使いながら。150Haの森を個人で開墾。ぶどう畑へ。



・農家の資格を取得
・地元住民と農事法人を発足。
・当時の地主には発表会(経営状況など情報を開示、説明)。ワインと料理でおもてなし。
・第三セクター化の話もあったが断った。それは責任の所在がボケるから。
・人間は対等であるということ。気に入らないときは10億円の仕事も蹴る。
・損得より善意。長いものにはまかれない。このプロセスを社員とも共有している。
・従業員は誇りを持っている、そして仕事を楽しんでいる。
・500人のうち、約100人が地元からの雇用。
・建物は自己主張せず、溶け込むイメージで。そのイメージを生み出したのは、建築家の先生とイタリアやなどへ一緒に行き常に勉強しているから。

景観一般について

・目先のことしか考えていないと、あっという間に俗化していく。行き過ぎた民主主義の結果。
・そこから経済原則に飲まれ、安いもの・早いものへ走っていく。本物とはかけ離れたものへ。
・個人の価値を制限しても、その地域のブランドを上げる取り組みが必要。
・本物はワールドスタンダード。人は本物を見抜く力を持っていると思っている。
・部分最適から全体最適の時代へ行かなくては。

本物について

・本物を提供すれば、わかってくれるはず。
・多くの人は、本物がわからない、本物があるのに気づかない、本物だよ、というPRの仕方がわからない。



※社員の皆さんが、久世社長を「社長」と呼ばず、「良三さん」と名前でお呼びになっていたのが印象的でした。

このフィールドワークをもとに、信州のまちなみについて何か見いだせればと思います。


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◆今日のPHOTO◆

昼食を食べた「よこ亭」。美味しいお蕎麦。本当に沢山の人が来ていました!


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