【書評】クラウドHACKS!※仕事に使える5つのクラウドHACKS

クラウド、雲を意味する新しい仕組。まさにユビキタス社会を象徴するもの。ICTの発達のお陰で僕たちは好きなときに好きな場所で仕事などができるようになってきた。
そんなワークスタイルのためのLIFEHACKが沢山つまったこの本。僕のような公務員という仕事でも、大変役に立ちました。

1)とりあえず情報は一元化

本書の中でもEVERNOTEやDROPBOXなどのクラウドサービスが紹介されているが、既に僕は導入済み。職場のPCのセキュリティーの問題でクライアントソフトはインストールできないが、これらのサービスはブラウザ上で使える。もうUSBにデータを入れて持ち運ぶのは時代遅れ。しかも、「こういうデータはEVERNOTE」「こういうものはDROPBOX」と決めておけば「あれ、どこだっけ?」と迷うことはない。しかもブラウザもIEではなくChromeは快適!Xmarksというサービスを使って、職場でも自宅でも同じBookmarkを使うことができる。
また以前勝間和代さんの本で知ったのが、「全部Gmailに転送してしまう方法」。これで転送、というひと手間があるが、職場でも自宅でもメールが確認できる。最近でもある講演会の資料を外使い用のPCにコピーし忘れていたのだが、自分のMacbookairを立ち上げ、GmailからそのファイルをUSBメモリ経由でコピーした。しかも講演会開始の60分前に。



2)クラウドコラボレーションという考え方

人々が自分の長所や特長を活かしながら職場などの枠を越えて、あるプロジェクトやイベントに関わるというスタイルが増えている。特にアメリカでは四人に一人がこのようなワークスタイルをとっていて「フリーエージェント」と呼ばれる。また新しいリーダーの形として「クラウド型リーダー」が提案されている。今までのようなピラミッド型の組織図ではなく、対等の立場の人たちがコラボレーション(協働)してプロジェクトを進めていくスタイル。その中でのリーダーシップとは権限や命令ではなく、いかに相手の想いを引き出すようなテクニックが必要になる。
ここで必要になるのは理詰めで相手を説得させる「ディスカッション(議論)」ではなく、共通認識を確認するための「ダイアログ(対話)」。職場の枠にとらわれず、組織内の出世に固執せず、このような権限がない中でリーダーシップを発揮できる新しいクラウド型リーダーが求められる。これってこれからの分権時代に即した仕事のやり方なのかなあ、と個人的には思う。

3)Webサービスから効率的に情報を収集する

新聞、雑誌、ML、書籍、Web…公務員として常に時事問題から始まり、先進事例や全国の動きを収集・研究するには多くの媒体がある。僕も月に平均5000円くらい書籍は購入するし、公務員関係の雑誌を年間購読している。それ以外ではWebに関してはやっぱりGoogleリーダーやTwitterがメイン。特にGoogleリーダーはGoogleアラームと組み合わせて自分が気になっている話題を中心に購読している。最近では自治基本条例と買い物弱者。ブログやホームページに上記のキーワードがあるサイトが更新されるとその情報がGoogleリーダーに読み込まれるのだ。またTwitterも尊敬する首長さんを始め、地域のキーマンや地元で活躍している方々をフォローしている。仕事中も隙間時間などでチェックを行うと、なぜかこういう時に素晴らしい情報に出会うことが多い。またTwitterやFacebookもただ日記みたいに書いて発信するだけでなく、「こういうことってどう思います?」「この仕事って、皆さんはどう感じます?」など、「問いかけ」の文章を書いてみる。そうするとその記事を見てくれた方々から「これがいいんじゃない?」「私はこう思うよ!」などの意見が帰ってくる。そしてこういう意見の中にこそ、自分一人では思いもつかなかったアイディアの宝庫なのだ。ただ単に記事を読むだけでなく、問いかけることによって得られる情報もある。まさにこれがSNSの醍醐味だ。

4)文化人類学的アプローチを仕事に取り入れる

クラウドは確かに便利。だが危険なのはしょせんクラウド上の情報しか入手できない、ということ。この限界を超えるにはオフィスに縛られることなく現場に行き動きながら仕事をする、ということ。(そのためにクラウドサービスがある、と思った方が良いんじゃないかな?)
機能的にもデザイン的にも優れたショッピングカートを番組の中で創り出したデザインファームファクトリーIDEOのトム・ケリーの言葉。
「上司にとって安心な部下は、常にデスクに座り、書類と向き合って仕事をしているような人かもしれないが、本当にそれでいいのだろうか?IDEOでは、外に出て専門家の話を聞き、そして現場に行って文化人類学のように観察を行う、ここからイノベーションが生まれるのだ。」
これって「専門家」という言葉を「住民や市民」に置き換えると、まさに公務員の仕事なんじゃないかな?そして現場に出ながらも今まで通りの仕事をこなしていく、こういう時にこそクラウドサービスをフルに活用する、そんな仕事の仕方がこれから求められるようになると思う。

5)プロセスを重視した人事評価システム

成績によって評価を行う成果主義人事評価の限界。理由は必ずしも成果だけではその人のパフォーマンスを測れない、という点。なぜなら、景気の動向やライバルの好調や不調などによる外部要因による面が大きいこと。あるチームで頑張ったのに、その担当者のみが評価を受ける、これが正しい人事評価と言えるかどうか?これに変わるのがプロセスを評価する、というもの。結果の良し悪しではなく、そこまでのプロセスがきちんとこなしているのか?で評価されることは公平性の観点から考えても妥当と言える。(首都大学東京大学院の大杉覚教授は、チーム評価を提唱している。)
またプロセスは目に見えにくい、という点からも前述のようにクラウドサービス等でその進捗度を「見える化」する、ということが必要になるだろう。
僕の知り合いのプログラム関係の企業では、クラウド上に日報管理システムを構築しどこからでも自分の業務はもちろんのこと、同僚の状況も把握することができるシステムを構築している。また特筆すべきは業務のタイムログだけでなく、トラブル発生時の対処方法、そしてその結果などの接客情報や接客態度などの情報も全て入力している点。これは人事評価における情報だけでなく、こういう情報を共有できるシステムを構築することによって、いわゆる「暗黙知」を「形式知」に変換していること。これは組織として成長する「知の結晶」となる。

僕自身は個人的にガジェットやクラウドサービスが大好き。でもよーく考えると、これらをある程度使いこなすことは、これからの公務員には必要なスキルなのだと最近は強く思うようになった。
ニセコ町の自治基本条例10周年記念シンポジウムの際に、木佐茂男九州大学教授が「公務に携わるものとしてメールやGoogleサービス等を使いこなせないようではダメ」なんて感じの発言をされていた。



効果的にクラウドサービスを利用することで、効率的に多くの情報から自分にとって必要なものだけ入手することができる。そしてこの効率化はワークライフバランスの点からも有利だ。スキマ時間はよく考えるとどこからでも生まれてくる。そのためにもクラウドサービスを使った仕事術は、これからのライフスタイルにも必要だと思う。
本質はこの効率化によって得られた時間を、公務員として、人として何に使うのか?あえて書かないけど、これを忘れてしまうと本末転倒かな?

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