風の学舎にて




 唐突だが、僕は「南信州自治研究会」のメンバーだ。
http://www.pref.nagano.jp/xtihou/simoina/seisaku/wakate/jiti.htm
 南信州自治研究会とは平成20年1月18日に「南信州地域の自治体若手職員を中心に、市町村の枠を越えて地方自治等に関する研究を行うとともに、交流を深め地域づくりに寄与すること」を目的として発足した任意のグループだ。しかし長野県(下伊那地方事務所)の方々のバックアップやフォローがあるおかげで、かなり自由にやらせてもらっている。4つの分科会に分かれそれぞれ自主的に活動を行っているのだが、僕たちのチームは「協働」をテーマに活動している。その一環として6/26、飯田市にあるNPO法人いいだエネルギーネット山法師の事務所がある「風の学舎(まなびや)」にて現地調査を行った。
http://yamabousi.net/

 現地調査とは大げさだが、実は行政職員はNPOの実態を知らないという事を日頃から感じていて(まあ、これは自分だけのことだが)、今回はこのような機会を通じて新たな人脈や価値観をメンバーと共有したいというのが最大の目的だった。
 そして、NPO法人の活動については飯田市は盛んだが、その周辺町村ではNPOの活動実績は本当に少ない。自治組織の仕組みがしっかりしている反面、育ちにくいという面はあるだろう。
 また、長野県のアンケートによると「NPO法人になって何が良かったか」というと「社会的信用が上がった」で4割を占めている(下伊那地方分のみ)。が、その反面、4/4信濃毎日新聞の記事によると「資金不足」が58%をしめ(長野県全体)、信用が上がったと感じているのに金融機関等からは、なかなか融資を受けられないという矛盾点が浮かび上がっている。社会全体がNPO法人のような、「地縁」ではなく「同じビジョンに向かって仲間が集まり活動している団体」をもっと認めてあげるような意識付けとともに、やはりNPO法人の皆さんも専門知識を培いながら活動していく、この「両輪」が必要となると感じている。行政としてはただ単に補助金を出すだけではなく、「既存の自治組織」と同様に「NPO法人・任意団体」などの存在もありきで地域づくりを考えていく姿勢や、それも具現化できる知識・技術が必要だと思う。そのためにはやはり実際の活動を肌で感じるしかないと考えたわけだ。
 話はそれたが、今回お邪魔した山法師の皆さんは、そういう意味ではこの厳しい時代にも本当に輝きながら活動しているNPO法人の一つだと、事務局長の平澤さんにお会いしお話しして感じた。一つ印象に残ったのはメンバーのほとんどが「現役」であるということ。まだ仕事をしているのに、仲間と集い飯田下伊那全体のこと、そして日本のこと、世界のことを考え活動していることに本当に感動した。
 今回の共通キーワードは2つ。 
 話をして感じたことの一つは「現状を知る事」。案外行政にはデータが集ったり、持っていたりするのに、その数字から現状を読む事をしていない。平澤さんはそんな状態を危惧しており、飯田下伊那の現状やそして危機を沢山のデータをもとにお話ししてくれた。飯田下伊那のことはもちろん、自分の町の基礎データでさえ把握していない職員が、どれくらいいるだろうか?財政や企画振興の担当に行けば嫌でも知ることができるが、本来ならこのような数値は全職員が把握しておくべきだろう。
 もう一つは「ないものねだりではなく、あるもの探し」である。市場原理主義、都会への羨望など本来田舎では機能しないことを無理矢理導入し、自然やその地域の人たちの歴史文化、そして「誇り」や「魂」を奪ってきている、そんなように平澤さんはお話しをしてくれた。確かに、どの市町村も同じように道路を整備し、建物を造り、どこを見ても同じ様な家が立ち並ぶ日本の風景。ヨーロッパの街並みの写真と比較しながらスクリーンを見ていたが、日本の風景の「がさつ」さに愕然とした。
 僕は昔の生活に戻れとは言わない。ICTの技術や道路インフラの整備によって、多様性を増した現代人は多くの恩恵を受けている。そこで気をつけなくてはいけないのは地域にとって「何が大切」で、「大切にする」とはどういうことなのか?ということだ。今回の調査ではそのことに改めて気づかされた。
 調査後は、そのまま「風の学舎」で平澤さんを囲んで一杯!この「ノミニケーション」がたまらない!しかも自分たちで包丁をにぎり野菜を切り、かまどでご飯を炊き、いろりを囲んで自分たち(実はほとんど平澤さんが作ってくれた・・・(ーー;))料理をつまみながら、冷えたビールとおいしいお酒を飲む!話が弾んで遅くなったのは、言うまでもない。

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