小田切徳美教授(明治大学大学院)より
増田レポートのプロセス
私的な研究会が政府の提言へ
形式的特徴
消滅可能都市リストの公表
財務省・総務省の元次官がメンバー、諮問会議では財界からもメンバー入り→何か意図があるように感じる…
増田レポートの主張
1)著しい少子化→ストップ少子化
2)東京一極集中→地方元気戦略
1)+2)自治体消滅
→今までの課題をなぞっただけ
→センセーショナルな言葉にマスコミが反応
→過疎という言葉が消え、人口減少という言葉に置換
市町村消滅論への3つの諸反応
1)農村不要論:乱暴
2)制度リセット論→道州制が見え隠れ?:狡猾
3)あきらめ論:深刻
→これを整理し、きちんと判断することが、私たちの仕事。
疑問点・反論
・女性の半減以上でなぜ消滅なのか?
・小規模町村でなぜ消滅なのか?
・田園回帰をなぜ過小評価するのか?
→乱暴、狡猾、深刻なこの結論は、雑な実態認識からではないか?
・若者の回帰志向は、フタコブラクダ型。高齢層だけでなく、若年層にも傾向が見える。
・鳥取県内では小さな町村こそ定住の成果が出ている。
→Iターン者がUターン者を刺激する「愛がYouを刺激する」
という仮説が見えている
藤山浩教授(鳥取県立大学連携大学院教授)
地元の定義は3つのつながり
「人とのつながり」
「自然とのつながり」
「伝統とのつながり」
「選ばない地域」は「選ばれない」→誰でも来ればよいのか…
最後に小田切先生からまとめ(3つの必要性)
1)田園回帰の実態を知ること
・その実態は有るのか無いのか?まずはここから。
・田園回帰者からの物差しを把握→これを明らかにしないと田園回帰者とこれを支援する行政との間に乖離が生まれてしまう
2)田園回帰の可能性を高める
・ブームに終わらせない
・移住→定住→永住、この段階ごとにどんな課題があるのか、これを明らかにする必要がある
3)田園回帰の実践を行う
・特効薬はない。今回のシンポジウムで見えてきたのは「オーダーメイド型」の支援やインターフェースの可能性。これをどのように進めていくのかを明らかにする。
今日のPDF
小田切先生の発表の中でもありましたが、大森彌教授が自治体消滅は起こらないと明確に述べています。自治体消滅といえば、「平成の大合併」で消滅した町村数は1600にも及んだ。人為的な市町村消滅は激しく大規模であった。市町村の最小人口規模が決まっていないにもかかわらず、 自治体消滅の可能性が高まるというが、人口が減少すればするほど市町村の存在価値は高まるから消滅など起こらない。起こるとすれば、自治体消滅という最悪の事態を想定したがゆえに、 人びとの気持ちが萎えてしまい、そのすきに乗じて「撤退」を不可避だと思わせ、人為的に市町村を消滅させようとする動きが出てくる場合である。未来の予測を「自己実現的予言」にさせてはならない。
東京大学名誉教授 大森 彌(第2879号・平成26年5月19日)
「地方消滅」という定義が正しいかどうか、という点は僕もそのとおりだと思います。また、その言葉に振り回された自治体があることは事実です。
重要なのは、各地域で考え方をしっかり持つことが重要です。どこか外国の話だと思っていると、足元を救われるのは自分たちです。
これを打破するには今までの考え方とは違った発想が必要であり、その考え方を受け入れる地域や組織の風土の醸成が早急に望まれます。
追記:20140807
こんな動画があると情報提供頂きました。ぜひご覧下さい。このフォーラムと同様の内容を小田切先生、藤山先生が記者発表しています。
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